岸和田の裁判所に行かなければならなかった。
誰かのために証言するわけでも、気になる裁判を傍聴するわけでもない。ましてや僕は弁護士や裁判官でもない。
自動車の速度違反の罰金を支払いに行ったのだ。わざわざ裁判所まで行くのは骨が折れるが、悪いのは僕である。従うしかない。
そんな岸和田の裁判所の近くで、急いで昼食を摂らなければならず、駆け込んだのがこちらだ。
その名も「Little Cafe」、基本は喫茶店なんだと思う。
入り口に貼り付けられていた「今週のランチメニュー」を見て、暖簾をくぐった。
店内は狭いが、掃除が行き渡っている清潔感があり、居心地が良い。
お店は、仲の良さそうな老夫婦が切り盛りしている。定年退職した夫が妻の手伝いを始めた、そんな印象を受ける。
運ばれてきた「本日のランチメニュー」だ。麻婆的なモノと春巻的なモノと鶏の唐揚げが、所狭しと弁当箱に収まっている。
見た目以上にボリューミーな内容だった。どれもとても丁寧に料理されていて、温かみが伝わってくる。
急いで駆け込んだお店だったが、どこかホッとするようなアットホームさがあり、お店を出る頃には心が洗われた気がした。運転もこんな心境でしていれば、裁判所なんてこなくても良かったのに。
食後に出された冷たいコーヒーを飲みながら、のんびりとそんなことを考える。
たまに、こういう類の喫茶店に入ると落ち着く。スタバとかドトールとかそういう所ではなくて。個人経営だと、温かみの密度と種類がまるで変わってくる。
たまに、こういう所でのんびりして充電するのも悪くない。
場所はこのへん。